お客様から、出先でエンジンがかからないとの訴えの電話。
遠隔診断でいろいろ聞いてみると、バッテリー上がりの様子。
「メーターの真ん中に『IMA異常、充電できません』と出るんです」とおっしゃる。
どうやらハイブリッドの故障みたい。
すぐさまパワーソースを持って現場に急行。
一度鍵をひねってみましたが、ONしない。
いわれた通りの表示がメーターの真ん中に出ています。
ホンダのハイブリッドはフェイルセーフで始動もできます。
パワーソースを12Vバッテリーにつなげて、
少し長めに鍵をひねると、なんと、セルモーターが回るのです。
ただ、今の段階ではこの補機バッテリーにハイブリッド電池からの充電ができないため、
パワーソースを外すとすぐに止まってしまう。
やむを得ずパワーソースをつなげたまま走行し、
工場に入庫。
診断機をつなげて確認すると
「インバーター回路信号異常」のメッセージ。
インバータが機能していないと当然モーターは動きません。
回路図を確認すると、
インバータへのゲートウエイがあって、そこにリレーを使っています。
これのONとOFFを繰り返して直流を交流に変え、
モーターを動かしているのですね。
じゃあ、このリレーが原因?
いやいや、もっと上流を見ると、12V電源からのヒューズを通しています。
整備士としては故障探求は一番簡単な部分から見るのを心がけているので、
若い従業員に「12番のヒューズを確認して」と指示しました。
絶対切れているはず。
「社長、つながってます」
そうきたか。どん底に突き落とされた気持ち。
「社長、もう一つIMAのヒューズがあります」
え、そうなの?
「切れてました」
よかったぁ。これを差し替えたら、見事復活。
正常に戻りました。
じゃあ、なんで切れたか?
回路図とにらめっこして、その上流にあるものを発見。
これが一時的に誤作動したのかも。で、大きな電流が流れて切れた感じ。
アクティブテストしても問題なし。
お客様に原因はここで、今のところは問題ないので
次に切れた時にはこの部品を取り換えましょうと伝えて納車。
快調に乗っていらっしゃるご様子です。